ドクター・ピュアガール

マニアックス[1]

[注意!] 以下の内容はネタバレ含有率100%です。本文を未読の方は速やかにお引き返しください

  • はじめに
     このドキュメントでは、あまり評判の芳しくなかった『ドクター・ピュアガール』を改造するにあたっての著者・冨村千早の苦悩(大袈裟)と、改造に関する情報をちょこっとだけ公開します。
    読まずとも本文の理解に全く支障はありませんので、「へー」「ほー」などと思いながら軽く読み流していただければ幸いです。
     本ドキュメントは以下のセクションにより構成されます。
  • 改造要件
     早い話、どこをどう直すのか? という話です。
    これを見極めるのに最も効果的なのが第3者の目でチェックを行う、即ちレビューを行うことです。(すっかりアプローチがシステム設計寄りです>自分)
    ついては某掲示板に1stEditionを晒し、寄せられた意見から改造要件を抽出しました。それが以下の項目(抜粋)です。
    1. タイトルの意味について説明追加
    2. 純が少女のような外見であることの必然性について説明追加
    3. 純の出番カット
    4. 哲郎の心理描写強化
    5. 文章ブラッシュアップ 等々
     これら項目に沿って実施すべき修正内容をつめていきます。具体的にはプロットの見直しと再構築、新たなエピソード追加などです。

  • キャラクターPageTop↑
     キャラ造形を再確認し、改造要件に合わせてキャラの描写を先鋭化します。
    頭の中にあるキャラのイメージをリフレッシュ、ってカンジですかね。
    但し造形自体はいじってません。特に純のキャラ造形は本作品のキモですので。
     以下にメインキャラのキャラ造形および描写の注意点をまとめます。

    • 静川純:
       純のジェンダー描写のさじ加減は作品全体の出来にも影響する重要なファクターです。
      彼女は女ながら基本属性に男の記号が強力に組みこまれており、性に関してはまことに微妙なバランスの上に立っていると言えます。
      下手に性を匂わせてしまっては彼女の性別を判断するための記号が判然としなくなり、読者が混乱してしまう恐れがあります。
      ですので極力、女としての描写はカット。物語中盤まで純は無性(むせい)です。
       そんな超然とした彼女を“ただの女”に突き落とした台詞があります。
      それはどの台詞なのか? …じっくり読んでいただけると嬉しいです。

    • 星野哲郎:
       実は哲郎も相当、性描写に関しては屈折しています。
      物語中、彼は男ながら女性が請け負う役割を果たしています。曰く、感受性が鋭い、ナイーブ、夢見がち、泣き虫、など。
       必然的に彼の基本属性は少年(本文中での表記は青年)です。しかし物語中盤あたりからそれではにっちもさっちも行かなくなってきます。名実ともに男でなければ純を女として目覚めさせることが出来ないからです。
       純を力づくで圧し、彼女が女になったことで哲郎は少年から脱し、男になりました。
      彼の場合は持っている女の要素がそれ程突出しておらず、スムーズに脱皮してますね。
      その後、彼の女要素はお茶目と言う名の個性として哲郎の中に生き続けています。

    • 橋本美香、田原さくら、青山通子、境原アサミ:
       恐らく作品中で読者が最も感情移入しやすい存在です。特に美香はそれを意識してordinaryな描写を選びました。
       さくらは一見お局風だけど実は姉御肌の気の好い女性。そこに冷静沈着なアサミ、ボケ担当の通子を加えました。この4人にカメラを向けた番外編みたいなのも面白いかもしれませんね。
       個人的にはアサミが気に入っています。彼女は不意にキーボードを叩く私の指先からぴょんと現れ出て、気がついたら一人でべらべら喋り出してました。こういうことって本当にあるんだなあと実感したキャラクターです。

  • 物語の舞台と医療知識PageTop↑
     執筆にあたり、最も頭を悩ませたのが医療に関連するファクターです。
    とにかく嘘を書かないこと! これが執筆の指針。力の及ぶ限り事実に基づいた記述を心がけました。
    物語の舞台となった病院は、ですから実在します。知ってる人が読めば、或いはわかるかもしれません。
     問題は医療知識。自慢じゃありませんが、私は注射の針を見るだけで鳥肌が立つという小心者です。
    …とか何とか言いながら、会社の昼休みには医学書を読みふける冨村がいました(凝り性)。
    ネット上の情報は最大限、有効活用させていただきました。ネットに落ちてる医療情報には大別して2種類あります。患者向けと、医師向けです。
    私は医師向けの、その中でも学会やシンポジウム向けの様な学術的根拠のはっきりした物を選んで読みました。それがもう、面白いのなんの。医者の道を選ばなかったことを後悔した位です。
     勉強の成果は本文中からリンクをはっておきました。お役に立ったなら、ちょっと幸せです。

  • その他PageTop↑
    • 配色、フォント:
       目の負担を考慮し、配色を薄グレー地に濃グレー文字としました。特に液晶モニタでは白地って輝度の高さが目に辛いので。
      グレーの陰気な雰囲気を打ち消すため、普段よりカラフルな素材を使用しています。
       読者さんから文字が小さいとのご指摘を受け、文字サイズ行間ともに拡大。加えてCSSの固定ピッチを可変に修正しました。…たしかにこの方が読みやすいかも。ご指摘ありがとうございます。

    • エディタ:
       日頃愛用しているのは秀丸なんですが、今回は改造仕様書(笑)を書く必要があり、テキストボックス、罫線、カラーリング等を使うことからMS-WORDを採用しました。
      ひたすらCtrl+sしながら執筆。いつ落ちるかわかりませんので。

    • BGM:
       執筆中ほぼ途切れることなく耳に流れ込んでいたのは『10cm四方の青空』
      CDを取り替えるのがめんどくさいのでこれオンリーです。
       機材は安物のポータブルCDプレイヤー+安物のヘッドフォン。ラブシーンなどの集中力を必要とするシーン(笑)を執筆する時は特定の曲を無限ループで流してました。
      僭越ながら本作品のテーマ曲をこのアルバムから選ばせていただくなら“攻撃的速攻性擬似恋愛(症候群)”でしょう。長い曲名だ…。
       確か、ネット通販でしか入手不可能だったような。上記リンク先で試聴も出来ますので興味のある方は是非聴いてみてください。


  • 最後にPageTop↑
     以上が(非常に駆け足ながら)『ドクター・ピュアガールSE』執筆にまつわる話でした。
    こうして見ると、手法が完全にシステム設計寄りですねえ…。(笑)
     私にとって執筆とコーディングはほぼ同じ意味です。知的好奇心を満たしてくれるという意味で。どっちも好きですよ、ええ。
    ただ、小説はそれが読者に及ぼす心理的効果を興味深く観察するという悪趣味な楽しみ方ができます。
    それが楽しくて…ではなくて。作品を読んだ読者が少しでも優しい気持ちになってくれたら、それが一番の冨村へのご褒美です。
     ご感想をお待ちしております(本文の、ね)。
    それでは。

Written By C.TOMIMURA 2002.12.8(Contact : tmchihaya@s4.xrea.com)

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